top of page
Takahisa Nagai / 永井 孝尚
Photography
水の景色 - 時間のアート、上高地
(Scene of Water - Kamikohchi, The Art of Time)
美しく豊かな自然で私たちを迎えてくれる上高地は、大正池から横尾までの長さ10Km・幅2Kmという細長く狭い地域だ。
この上高地の姿は、時代とともに目まぐるしく変わってきたことをご存じだろうか。上高地の誕生は1万2千年前の白谷火山噴火に遡る。この時、梓川が堰き止められて、古上高地湖という巨大な湖が生まれた。そして1万2千年かけて周囲の山からの土砂により湖が埋められ、現在の細長い上高地の地形が生まれた。その土砂の厚みは大正池付近で現在300mにも達している。
いまも上高地は姿を変え続けている。1915年に焼岳が噴火して梓川が堰き止められ、青い水をたたえる大正池が生まれた。当時、季節とともに美しく色彩を変える田代湿原は水深5mの池で小舟が浮かんでいた。わずか100年で起こった変化も、1万2千年間の壮大なプロセスの一部なのだ。
私たちが目にする美しい上高地は、上高地を流れ続ける清流が雄大な時間をかけて生み出した奇跡のアートなのだ。そしてその姿は常に変化し、元の姿を留めない。いま私たちが目にする上高地は、時間のスケールの違いはあれどもこの一瞬のものなのだ。
時間を写し取る手段である写真で、この上高地を表現したのが、この作品だ。2015年12月11日〜17日に富士フイルムフォトサロン東京で行った写真展では、これらの作品を大サイズの美しい銀写真プリントに引き伸ばした作品を展示した。写真展開催期間中は毎日、作者自身による作品解説も行った。
なおこれらの作品は、Instagramでも発表している。
【1済】上高地を生み出したのは水だ。明神南沢、清流の一瞬
【2】全長わずか数百mの清水川。水草が清流の中でゆらぐ
【3済】田代橋。清らかな梓川の水面と光
【4】晩秋の明神南沢。水草の間で揺れる落ち葉
【5済】岳沢湿原。流れはどこまでも透明だ
【6】穂高橋から見た、透明な梓川
【7】初夏、前日までの大雨で増水した梓川の激流
【8】大正池の古木と、鏡のように静かな梓川の水面
【9済】5月、初春の田代湿原と穂高連峰。新たな芽吹き
【10済】7月、初夏の田代湿原。新芽が順調に新緑へ育つ
【11済】9月、初秋の田代湿原。草は一斉に黄金色に
【12済】11月、晩秋の田代湿原に霜が降りる
【13済】初春の田代池。厳しい冬で葉は落ち、緑の新芽が育つ
【14済】初夏の田代池。新緑がまぶしい
【15済】初秋の田代池。黄色いものが混じり始める緑の木々
【16済】晩秋の田代池。広葉樹は落葉、池底に堆積していく
【17済】白樺と新緑
【18済】5月。上高地はまだ早春。木々が芽吹き始める
【19済】5月の上高地は、ニリンソウの季節
【20】朝露が朝日に映える
【21済】初夏、空の青さと鱗雲のコントラストが際立つ
【22】朝霞の大正池から望む焼岳
【23済】100年前に森だった大正池。今は数本の木を残すのみ
【24済】夜明け前、息づく上高地の森に現れた朝靄
【25】晩秋。青空へと伸びる、落葉した広葉樹
【26】 明神池・二之池の傍らにあった葉
【27】初霜をまとう落ち葉
【28済】雄大な銀河と穂高連峰
【29済】穂高連峰を星々が巡る
bottom of page